嵐の前の静けさか?後立山五竜岳・鹿島槍ヶ岳縦走

                                                                             L.加藤 献 、栗原 治郎(記)

1/18 前日鈍行を乗り継いで8時間。夜中に大糸線神城駅に到着して、早朝に特急電車で着く
加藤さんを駅舎で待つ。この駅舎作りが立派でトイレも綺麗。金のない若者にはいいホテルとなっ   
た。6:00に加藤さんが予定通り到着。すぐに五竜とおみスキー場へあがる。最初のゴンドラは8:30。 
上部のリフトを乗り継いであっという間に地蔵の頭へ。とても天気がいい。風もない。ゆるやかな稜   
線を歩くがいっこうにラッセルにならない。 結局白岳直下までラッセルは無し。 13:30、 あっけなく    
 五竜山荘に到着。初雪洞を掘るがキジ場を掘り当ててしまった。テントを中に張って快適な夜(* 雪   
 の中から掘り出したブツは別の場所へ移動)。 夜はだいぶ降ったみたいだ。雪かきは加藤さんが    
 やってくれた。                                                                                                                  

1/19 きっと荒れているだろう、と思って雪洞から出てみると綺麗な朝焼け。まぎれもない快晴無
 風状態。 6:30 に出発 トラバースの時に数回ロープを出して五竜岳山頂に10:00ぐらい。 まったく天    
気は変わらず、ずっと剱やら周辺の山が目に飛び込んでくる。よくみるとものすごい数のピークを擁  
した山域だ。途中休憩しているときに防水袋を黒部側へ滑落させる。 財布、手帳、携帯、地図など  
が入っていたのでロープをつけて斜面を下降。 50mいっぱい出たところで運良く財布と手帳が袋か  
 ら投げ出されていて止まっていた。奇跡。 キレットに懸垂下降して岩を回り込んだらキレット小屋に   
 到着。初めて来たがこんなところに小屋を建てるという発想がすごいな。 最近、無職のせいか小屋   
 を見るとそこで働く自分を想像してしまうが、こういう小屋ではあまり働きたくない。 八ッの赤岳鉱泉   
 なんかがいいな。まぁ、あくまで妄想です。この日も快調でキレット小屋についたのが13:30。 しかし    
 快調なのは加藤さんだけで僕はかなりへばっていた。一回もラッセルしていないのにどういうこと?   
原因は荷物の重さ。軽量化を怠ったせいで荷物が重かった。たぶん客観的にみても重かったと思   
う。 小屋の裏手に屋根の張り出した空間を見つけてそこを整地してテントを張る。 夜は風もなく静   
寂そのもの。                                                                                                                   

1/20 今日こそ吹雪くぞ! と思っていたら相変わらず快晴無風。 6:30に出発。 すぐにロープを
出す緊張感のある岩場。  雪もだいぶ積もっていて斜面のトラバースではかなり緊張をしいられた。 
疲れてボケッと歩いていると不意に足元がズズッと不穏な音たてて警告を発してきたりする。 この   
日もラッセルは加藤さん。 何回登下降を繰り返しても鹿島槍が近づいてこない。 なかなか手強い   
ぞ今日は。 それでもなんとか北峰の西面の長い緊張するトラヴァースをこなしてひと登りすると鹿   
島槍の頂上に到着。 知識不足でどれがどの山なのか分からないがとにかく日本中の山山が見渡   
せるほどの大展望だ。 日本海も見えるぞ。 ざまー見ろ。雪に埋まって冷え切っていたつま先を太    
陽に当てて暖める。 さて、 下りは僕が先頭に立ってラッセル。 しかし大冷小屋からは赤岩尾根を  
登ってきたパーティーのトレースに出会ってそれを踏んでゆく。 途中で加藤さんが先頭に立ってど   
んどん下降してゆくが僕はもうバテバテでなかなか追いつけない。 なんども斜面を転がって、 アイ  
ゼンが外れたのにも気づかずに(途中で気づいて取りに戻った)惨めな下降だった。 15:30大谷原。 
鹿島部落でタクシーを呼んで信濃大町へ。18:00ぐらい、僕はまた鈍行にのり、加藤さんは特急で  
帰路に就いた。その夜から山はかなり荒れ始めていた。                                                        
 
結局厳冬期の北アルプスのなんたるかはほとんど分からない山行だった。帰京後、4回同ルート
に挑戦して4回敗退した知り合いに報告をした。鹿島槍はあっけなく僕のなかを通過してしまったけど、
彼のなかではずっと留まって年々憧れは膨らんでいるみたいだ。こうしてみんな自分だけの山世界を 
作ってゆくのか、と思う。僕の因縁に山はどこにあるのだろうか。