Aiguille d'Argentiere,Milieu Glacier (normal route) 2002/8/8

 メンバー 栗原
 栗原 (記)

  7月の終わりごろからこの日まで一日を除いてほとんど雨天だった。 ひどい靴擦れも8月に入る頃にはだいぶよくなっていて、登山を再開するのをとても楽しみにしていたがなかなかそれをかなえることができなかった。オーストリアではがんがん洪水がおこっているというが一体どうなってしまったのだろう、とキャンプ場でもんもんと過ごしていたらやっと2,3日は続きそうな晴天予報が発表された。 しかし、 加藤さんはすでに帰ってしまったしどこか一人でいけそうなところ、 ということでAigille d'Argentiereへ向かった。当初はY couloirとnormal routeで迷ったが、降雪後ということでnormal routeへ。
 前日にArgentiere小屋へ。 明るいうちに取り付きを確認しにゆく。 小屋から真横にトラバースする感じで踏み後をゆくとMilieu Glacierの末端が見えてくる。人気ルートなので踏み後がついているかな、と思ったが長い降雪のあとなので氷河上は真っ白。トレースもまったくないきれいな状態だった。取り付きの見当をつけてケルンをつんで小屋へ。この小屋にはどういうわけか自炊者用の炊事道具、ガスコンロが用意されている。Les Courteやles Dorites,Aig VerteのN faceを登って反対側へ降りるクライマーにはとても重宝である。
 翌日は3時起床。どうせなら頂上一番のりがいいので4時に出発する。前日のケルンから氷河に上がるが前方にはすでに3人パーティーが登っている。踏み跡をたどって彼らの後を歩くがすぐに追いついてしまったので先に歩かせてもらう。氷河の下部はかなりクレバスが開いているので左端を巻くように登らなければいけないが、すでにクレバス帯に突入してしまったようでどうしても左に寄りきれない。一人きりなので絶対にヒドンクレバスを踏み抜くわけにはいかない。ピッケルをぶすぶすさしながら進むがいかんせん雪が深くてとうとうピッケルの長さでは地面が測れなくなってしまった。覚悟を決めてそれでも進むがあまりのリスキーさに意気消沈。3人パーティーがくるのをボケッと待つことにする。親切な彼らがロープに入らないかと言ってくれたので、僕がラッセルをすると約束して入れてもらうことにした。ジローだ、と自己紹介するとなぜかスペイン人だと思われた。ロープがなければ絶対に歩きたくないような場所と右へ左へと歩くとやがてクレバス帯は終わり、ただの雪壁になった。このあたりで彼らとの足並みがそろわなくなってきたので先に行かせてもらう。危ないところだけロープに入れてもらったのでなんだかずるした気分だった。まぁ、そのぶんラッセルはしとくよ、といってトップスピードで登る。真っ白な斜面に自分でトレースを刻むのは最高の気分だ。背後には朝日を受けたles Dorites,Aig VerteのN faceがよく見える。ひたすら雪壁を詰めて午前8時30分に頂上に到着。所要時間約4時間30分。下降は途中までは自分の踏み後をクライムダウン、クレバス帯の手前から後続のパーティーが歩いた氷河左端の正しいトレースを歩いて下降。こっちのほうは全然危なくなかった。思いっきり左の岸壁に近づいて歩くのが安全のポイントだろうか。まぁ普段はトレースがあるだろうけど。11時小屋到着。充実感のあるよい一日だった。