南アルプス光岳 沢から沢へ

吉成 博 記

 

平成12年8月4日(金)〜7日(月)

L吉成 他5名

 

4日 晴れ後雨

 北又渡8:15〜8:55取付9:15〜加加良沢遡行〜12:05二俣〜14:20(幕場)

5日 晴れ後曇り

 幕場7:00〜加加良沢遡行〜13:05右沢分岐13:30〜16:10稜線〜16:40池口分岐〜ダルマ沢下降〜17:20(幕場)

6日 晴れ後雨

 幕場7:00〜ダルマ沢下降〜10:30リンチョウ沢出合〜リンチョウ沢遡行〜17:15 稜線〜17:55光岳〜18:15光小屋(泊)

7日 晴れ後雷雨

 光小屋5:10〜(朝食)〜9:40易老渡

 

 久しぶりに土日連続で休みになった。そこで、職場の仲間を募集した。昨年敗退した「加加良沢」に行くことにし、沢の登下降で天竜川水系の加加良沢と大井川水系のリンチョウ沢の遡行をすることにした。ワゴン車1台で6人の経済的山行だ。その内3人は昨年の雪辱組で吉成・金森・江幡。前回は水量多く、沢に迫力があり、1日かかっても殆ど進めなかった。台風が日本のはるか南を西に進むのを確認し、出発する。

 4日 朝はゆっくり寝ているつもりなのに、興奮したのか、小林が騒いで皆を起こしまくる。しょうがない、車を北又渡へ移動させ、身支度を整える。車の通れない林道を40分ほど歩いて加加良渡へ。昨年は9月末にここからの林道で蛭にたかられたので、皆、足早に周りに注意し歩いていく。でも、所詮ダメです。途中で「ギャー」、林道の終点で点検して「ギャー」。シブトイ蛭にはなかなか馴染めません。

 入渓すると水量が少ない。昨年の迫力は何処へいったのか。1時間ほどで昨年の1日分を進んでしまった。加加良沢は標高差1,600m流程長い沢で、ここの時間のかかり方で後の行程が決まってしまう。12時に二俣到着。ここで予期せぬ雨が降りだす。今山行中、大気が不安定で午後から度々雨に降られた。これも南の台風の影響か。ザイルを1回使用し、ゴーロ帯になったところで、また雨が降りだす。この先は核心部のゴルジュ帯になるので、ここでタープを張る。時間が早く3人が釣りに行くが収穫ゼロ。言い出しっぺの小林は早く戻り、金森・江幡は冷たい雨に震えながら最後まで粘っていた。あとはタープの下での焚き火と宴会。今回もテントは持たず、米中心の軽量化だが、酒は次々出て、次々飲まれていく。終いに素っ裸で入水するバカもいた。ここはリーダーとして冷静に、あとの2泊を考え酒を隠し、サッサと寝ました。

 5日 朝も焚き火でソーメンを食べ、弁当を作り、出発。高巻を1回したあと、黄色い綺麗な鹿が数匹、斜面を駆け上がって行った。毛並みが良く、南アルプスの豊かさの証拠です。そういえば、ミミズもヘビみたいに大きく太かった。核心部は3回の高巻で通過した。巻きの踏み跡は判然とせず、ルート選定に苦労する。一度は懸垂の途中で登り直して、なんてこともあった。今日は稜線の向こうのダルマ沢を下降する予定で、標高1,500m位で右沢に入り池口岳を目指す。詰めになると内山が若干ヨレテきた。陸に上がったカッパ。でも、強くなった。あと5年もすると年寄りは相手にしないなんて言われかねない。

 稜線に出ると立派な道があった。よく考えて見ると、この道は5年位前に池口沢の下りに使った道だ。池口岳と光岳との分岐から適当にダルマ沢を目指して下る。藪をかき分けて進み、沢身に水が出てきて開けた所でタープを設営する。雨が降りだす。ここは標高2,000m、風が冷たい。豪勢な焚き火で対抗し、酒で身体を暖めて寝る。

 6日 明け方は冷え込んだ。起きて焚き火の準備をしているうちにウッスラと夜が明けてくる。今日は快晴。滝を三つ下降し、ダルマ沢の出合いに10時半に着いた。標高で650m余の下降だ。広い河原を歩いていると疲れが出てくる。ここでビールを飲んで寝てたいナアー。先の行程を考えると、稜線を越して諸河内沢の下降は無理で、光岳に出て一般道を下ることにする。今日の泊まりはリンチョウの上流部か光岳小屋だろう。リンチョウは寸又川の源流でめったに入れない。寸又峡温泉から林道を徒歩9時間位かな。「リンチョウ」何となく気になる響きです。

 途中の廊下で大高巻をし、昼の弁当を食べる。弁当を食べながら疲れているようだ。もう1回大高巻、ここの草付きのトラバースはいやらしい。そのあと左に沢を分けると、傾斜が強くなってきた。雨が降ってきた。広瀬が急にヨレテ立ち止まる。困ったゾ、幕場はないし、雨は降ってるし。広瀬、行動食を食いまくり歩き出す。シャリバテ解消で元気になる。たいしたものだ。いきなりガラ場になり、水が枯れる。4時頃より雨が強くなり、幕場を探しながら歩くが、傾斜がありすぎてダメだ。雨具を着て、小尾根でガレとの接線を藪漕ぎとなる。稜線に出るほかないのだが、目指すコル2,290mの標高を越しても稜線に出ない。小雨になりガスの中、やっと稜線の道に出た。濡れて疲れ切った身体で光岳の頂上を踏む。みんな良く頑張った。650m下り、1,250m登ったんだから。綺麗になった光岳小屋に着くと同時にドシャ降りになった。その晩は夜中まで雷雨が続き、本当に小屋がありがたかった。入口の脇で濡れた衣類を着替えたが、クサイのなんの、汗と沢水と焚き火の燻製。すでに小屋は一杯で、食堂兼自炊場で寝ることになった。温かい食事とビールで心地よく酔い、乾いた中でグッスリ寝る。外はまだ雷が光っている。

 7日 ゆっくり寝ていたかったが、4時前から自炊客がウロウロして起こされてしまう。もう、ここは我々の居る所ではない。クサイ濡れ物に着替え外に出る。富士山が見える。途中の水場でソーメンを作り、山行締めくくりの朝食とする。易老岳を経て、足軽く下山する。2週間後に月稜会の合宿でこの尾根から縦走をするのだ。その打ち合わせを今日の集会でするのだが、中央高速で松本からの道を合わせたあたりから渋滞になってしまった。仲間の好意で韮崎駅に寄ってもらい、車中で今山行をゆっくり味わいながら高田馬場に向かう。